現在中国では、「広州の皇帝」こと許家印前会長が一代で築き上げた中国最大の不動産会社「恒大集団」が、破綻の危機に追い込まれています。
中国の急速な発展を牽引してきた恒大集団ですが、そんな企業がなぜ『デフォルトの危機』にさらされているのでしょうか?
今回は、大きく株式市場を動かすかもしれないこの中国の不動産バブルについて解説します。
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不動産業界に倒産の波 「灰色のサイ」に世界が警戒 中国恒大|時事通信
恒大集団とは
中華人民共和国広東省深圳市に本拠を置く(登記上はタックスヘイブンであるケイマン諸島)不動産開発会社です。
※登記がケイマン諸島なのは節税のためと思われます。
創業者の許家印はフォーブスによれば2019年3月時点で362億ドルの資産を有し、世界22位、中国3位の大富豪です。
国内で20万人の雇用、間接雇用で380万人の雇用を抱える同社は、280以上の都市で事業を展開しており、中国政府が推し進めてきた改革開放路線の下、ここ数十年間、不動産開発事業で急成長してきました。
現在は不動産業だけでなく、ミネラルウオーターや食品の販売や観光業、インターネット関連サービス、保険、ヘルスケア、サッカーチームの運営など様々な事業を行っています。
恒大集団が危ない理由
恒大集団が危ない理由は中国政府の政策の影響から枝分かれしています。
- 資金が集められない
- 金融商品の配当が払えない
- 借りたお金を返せない
- 不動産が売れない
中国の政策を簡単に説明すると、『資産の内の負債の割合についての決まりを作り、3段階で表す』というもので、恒大集団は負債の割合が大きく資金調達を行うことをできなくなりました。
資金が集められない
このような中国政府の政策により、元々多くの負債を抱えていた恒大集団は資金が集められずに不動産開発が止まってしまいました。
中国では多くの都市で開発途中の不動産が溢れています。
恒大集団は開発途中の不動産を販売し、先払いで資金を集めるなども行っており、不動産の開発ができないと大きな問題が発生します。
しかも、その規模は一つの町単位で開発を行っていたから問題なのです。
金融商品の配当が払えない
恒大集団は上場もしており、また高配当の金融商品も販売して資金を集めていました。
そのため多額の配当金などを投資家に支払うことが義務付けられています。
しかし、現在支払いを行うための資金がないのではないかと懸念されています。
借りたお金を返せない
恒大集団は中国国内だけでなく、欧州やアメリカの銀行や投資会社から資金を集めており、その負債を返さないといけません。
その金額はアメリカの会社に対してだけで500億円とも言われています。
不動産が売れない
株価の下落の通り、現在は恒大集団の評判は最悪であり、肝心な不動産が売れない状況です。
当然、デフォルトの可能性がある会社から家を買う人はおらず、利益も大きく少なくなっています。
現在は半額以下の投げ売り状態であるものの、それでも売れていない現状です。
まとめ
「恒大集団を中国政府が救うのか?」
という点が一番の気になる部分でありますが、リーマンショックのような事態を引き起こさないために様々な機関が動くと予想されます。
しかし、中国政府が手を差し伸べることはないでしょう。
理由は3つです。
- 中国政府の政策が原因
- 政府はシャドーバンクを整理したい
- タックスヘイブンを利用している会社である
そもそも中国政府が始めた政策が原因であり、このような事態は予測できたはずであること、そしてシャドーバンクやタックスヘイブンを利用する会社を整理したいと政府が思っているからです。
アリババに然り、大きな会社でも中国政府はしっかり監視に置く、操作できるようにしたいと考えているでしょう。
個人的な見解として、中国政府の都合の良い状況になれば助けるが、基本的には助けることはないと考えます。
恒大集団を助けることで中国の貧民層から批判を受けることは間違いなく、政府も慎重な判断を行うでしょう。
今後は、10月12と年末に大きな支払いを控えており、その期間には注目して株式市場などを観察しましょう。
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